環境分析基礎講座－入門 (実習) コース

環境分析基礎講座－入門 (実習) コース－

主催：日本分析化学会関東支部　　　　　　

共催：東京理科大学・日本環境測定分析協会

昔は、分析室には匠と呼ばれる分析の神様のような指導者がいて徒弟制度のように次々と後継者が育成されていました。ところが、世の中が高学歴社会になるに従い、中卒や高卒の、叩上げの、分析の神様がその神通力を失い、新卒の修士や博士は言うことを聞かなくなってしまいました。OJT的職場環境の崩壊です。さらに、企業の定年やリストラがそれに拍車をかけて、躾をする指導者が消え、職場にモラルがなくなってしまうのではないかと心配です。仕事は増える一方で、多忙を理由に自己啓発も行われず、技術伝承もなくなりつつあります。大学においても、既に分析化学の実務教育がおろそかにされています。その結果、未熟な分析技術者が社会的に重要な仕事をすることになります。従って、分析の信頼性に関しては、何らかの規制が必要であると考えられるに至り、我が国においては、国際規格に基づく分析所の認定制度が各種整備され、分析所の審査が始まっています。残念なことに、多くの分析所の審査に出向いた技術審査員は、分析技術者の基礎的な部分におけるレベルの低さに、技術審査にならず、種々教育して、宿題を残して帰ってくると言う現状にあります。

そこで、日本分析化学会関東支部は、実務者に対して、座学だけでは身につきにくい基礎的な教育訓練を、実習を通して行うこととしました。本講座は、従来実施している機器分析講習会、及び分析信頼性委員会主催のエグゼクティブセミナー、エキスパートワークショップ、実務者講習会等を補完するもので、環境分析等に不可欠な化学分析の基礎が習得できます。受講者には受講証が交付されるほか，筆記・技能の修了試験合格者には修了書が授与されます。

会　期　: 平成16年1月19日（月）～ 21日（水）
会　場　: 東京理科大学森戸会館［東京都新宿区神楽坂 4-2-2，電話：03-52265-1033，交通：JR総武線「飯田橋」駅下車，市ヶ谷寄り出口より7分］

プログラム

第1日	（1月19日）
9:00～10:00	オリエンテーション	（日本分析センター）高田芳矩
	講習内容の趣旨説明に加えて，分析化学とは，分析者の心得と倫理，国際規格，環境基準，計量法改正等の概要を紹介します。詳細はテキストに記述してあります。
10:10～12:00	分析に使用される計量機器と器具の取扱い，及び分析化学の基本操作の講義	（元ジャパンエナジー分析センター）中村　靖，（千葉大工工学部）小熊幸一
	天秤，ホールピペット，全量フラスコ，及びマイクロピペットの取扱いのポイント，並びに，試薬の調製，沈殿生成，ろ過，抽出，湿式分解，灰化等の試料前処理技術を分かり易く説明します。
13:00～17:30	機器，器具の取扱い，試薬調製，試料前処理実習	（東京都立大学工学部）中釜達朗(3日間とも実習各班にインストラクターがつきます)
	器具の洗浄，天秤，全量フラスコ，ホールピペット，ビュレットを用いる基本操作としてキレート滴定のための試薬調製，試料前処理等を実習します。

第2日	（1月20日）
9:00～10:00	分析の質の保証	（産業技術総合研究所）高谷晴生
	ISO/IEC17025に基づく試験所認定制度とその要求事項(分析法バリデーション，不確かさを含む)について解説します。
10:00～11:00	環境試料の取扱いについて(水試料)	（産業技術総合研究所）田尾博明
11:00～12:00	環境試料の前処理方法(土壌試料)	（東京大学大学院新領域）吉永淳
13:00～17:00	キレート滴定による定量分析実験等	（横浜国立大学工学部）横山幸男
	滴定における標準物質の使い方，標定，終点判定等．試料中の目的成分の定量結果に基づき技量が判定されます。
17:20～19:00	質疑討論・懇談会	受講者，講師，実験インストラクター

第3日	（1月21日）
9:00～10:00	分析データの取扱い	（元ジャパンエナジー分析セセンター）中村　靖
10:10～12:00	食品試料の採取法及び試料前処理法	（日本食品分析センター）住吉雅己
13:00～15:30	食品試料の分解実習	（日本食品分析センター）住吉雅己ほか
	ケルダール分解法における硝酸の役割及び硫酸の役割を体験し，ケルダール分解の原理を学びます。試料には魚等が予定されています。
15:40～16:30	筆記試験
16:40～17:30	総合討論

【受講申込要項】

受講対象者: 初級者（分析実務経験が2年以内の者），「分析化学基礎セミナー」受講者，日本環境測定分析協会の「技術者基礎教育」受講者，基礎に立ち返って分析化学を学び直したい方，試験所の認定申請に際して担当の分析技術者が分析化学の基礎研修が修了していることの証明が必要な方。
※ 服装は実験に適するもの又は白衣を、また、保護めがねを忘れずにご持参ください。
受講料: 日本分析化学会会員・共催学会会員6万円，会員外8万円。日本分析化学会会員には維持会員，特別会員，公益会員に所属する方を含みます。但し，特別会員又は公益会員の場合は１名，維持会員の場合は何名でも会員扱いとします。また，受講料にはテキスト代及び消費税が含まれます。なお，納入された受講料の返却は致しませんのでご了承願います。
募集人員: 40名（先着順に受付けます）
申込方法: 所定の申込書（Word形式・PDF形式）により，FAX又はEメールにてお申し込みください。折り返し，請求書，会場案内図等をお送りします。なお，テキストは前送の予定です｡
申込先: 〒141-0031 東京都品川区西五反田 1-26-2 五反田サンハイツ304号日本分析化学会関東支部〔電話：03-3490-3351，FAX：03-3490-3572，E-mail:ktanaka@jsac.or.jp〕

関東支部トップページへ

Last modified: Thu Oct 2 13:08:31 JST 2003