「分析若手2000年夏期合宿」(2000年8月28・29日、草津セミナーハウス)報告
「分析21世紀基金」企画運営委員会 委員長
原田 明 (九州大学大学院総合理工学研究院)
1.呼びかけ
21世紀委員会(「分析21世紀基金」企画運営委員会)もいよいよ来春2月で解散です。これまで、日本分析化学会の全国レベルでの若手の会に相当する集まりが、関連した皆様のご理解とご支援に支えられて21世紀委員会活動を中心に築かれてきました。委員会解散後のことに関して、「拡大分析21世紀基金企画運営委員会(1999年9月)」「2000年会議(2000年5月)」でも議論がなされましたが、今、多くの皆さんが、この輪を是非21世紀に継続していきたいと考えていると思います。
私ども21世紀委員会でも様々な可能性を探ってきましたが、前向きな対応が出来ないままに解散期日が近づいてきた様に思われます。そこに、今回の2000年会議で素晴らしいアイデアが提案されました。本呼びかけはそれを実現するための皆様へのお誘いです。即ち、下記の要領で、今後主体となるべき若手の合宿を行いますので、よろしくご参加頂けますようお願い申し上げる次第です。また、お近くの方に呼びかけていただけると幸いです.
21世紀に向けて分析化学について真面目に議論してみませんか.日々の仕事に追われて忘れがちなことがあります.たとえば、社会貢献を考えること、そのベースとなるべき企業・大学・国公私立研究機関の連携の方法やあり方を探ること、未熟ながらにも後輩の教育を考えること、自らの研究をベースとして全国レベルでの協力関係の構築を試みること、など、21世紀に向けて若手分析化学者としてできること、すべきことは何かを、顔をつきあわせて泊まりがけで議論する機会を持ちたいと思います.本合宿企画はそんなお誘いです。今後、若手分析化学者が連携して何かを始めるにしても、日本全国のどこに誰がいてどの様なことを考え何をやっているのかを広く皆で共有しないことには、何も始まりようがありません.21世紀委員会の活動にこれまで参加された方はもちろん、初めての方こそ是非、積極的なご参加をお待ちしています.堅苦しい会ではなく、フランクに議論できるような会にしたいと思います.
参加対象年齢: 1960年生まれ以降の方を対象とします。
2.テーマ
21世紀の分析化学を考える。「社会貢献」「大学・研究機関・企業との連携」「教育」「研究」を探る。若手分析化学者としてできること、すべきことは何か?
3.タイムテーブル
4.会議資料(当日配布抜粋)
資料T 「分析21世紀基金」企画運営委員会関連の行事予定 (本合宿以降2001年2月まで)
1.第49年会(岡山、9/26-28)付設企画
1)
9月28日(木) [年会最終日] 13:00 〜 17:00、 会場: 分析化学会第49年会会場
若手シンポジウム「スピーシエーションのための分析化学」
形式: 公募による講演会
2)
9月28日(木) 19:00 〜 9月29日(金) 12:00 「倉敷会議−21世紀基金の総まとめ」
会費: 8,000円(宿泊費,夕食,懇親会,朝食を含む)
申込先: 〒700-8530 岡山市津島中3-1-1 岡山大学理学部化学科 高柳俊夫
2.「分析21世紀基金」企画運営委員会活動報告集 の作成
・ 主目的 2001年以降の分析若手の活動の円滑化.
・ 体裁 A4版50頁、約500部、予算 \400,000- (郵送費込)、発行予定 49年会に間に合う日程
・ 配布方法 49年会受付横に平積、本部・支部役員へ郵送、「若手シンポ」「倉敷会議」参加者配布
・ 編集委員長 荒井 健介
・ 構成(案) 1.緒言(依頼) 2.分析21世紀基金と企画運営委員会(依頼) 3.活動記録 1)
これまでの活動 2) 基金の推移 3)「ぶんせき」誌抜粋 4) 各支部の若手の会 (各位支部若手の会関係者に依頼) 5) 科研費の申請(依頼) 6)
メーリングリスト(依頼) 7) ホームページ(依頼) 4.企画運営に携わって(依頼) 5.結言(依頼) 6.資料: 委員録、講演録
3.Anal.Sci.若手特集号の企画共催
・「Analytical Sciences」編集委員会と、「分析21世紀基金企画運営委員会」との共催構成(案)
・特集論文の題目: Young Generation in Analytical Sciences
・特徴 1960年以降に生まれた研究者を第一著者かつ連絡代表者とする"Original
Papers" および"Notes".第17巻(2001年)No.1の掲載予定。若手分析化学者が何を考え、何をしようとしているのかを特集し、21世紀における分析化学のアクティビティー、将来性、発展性を示す.若手研究者からのチャレンジングな提言やオリジナリティーに富んだ発想とその具現化に重点をおく.発展性が認められ、論理的な思考に基づいている場合には、準備的段階にあるもの、多少断片的なものも許容する.また、アイデアに至る過程を明確にするために必要な場合に限り、総説的内容や既発表のデータを含めることができる.
・締切: 申込, 7月31日(月); 投稿, 9月29日(金).
・特集論文の審査方法: 一般論文に準拠.ただし、上述の特集企画内容を加味して審査.
・
21世紀委員会側の役割
a)
掲載号の無料配布: 「分析21世紀基金」から出費。関連者研究者に郵送を依頼.
b)
ゲストエディター(岡田、原田)
c)
論文査読者
・
仮題申込状況報告と依頼事項
資料U 2001年以降にどうするのか?
A.背景
1) 2001年2月 「分析21世紀基金」解消、同基金企画運営委員会(21世紀委員会)解散.
基金があったことの意味と、21世紀委員会の性格=基金管理委員会?.
2) 現在、日本分析化学会の全国レベルでの「若手の会」組織は無.
21世紀委員会とその関連活動がこれに相当.
一方、日本分析化学会の7つの支部には若手の会があり活動.
3) 分析若手の活動への期待と、活動継続の必要性.
年会や討論会での若手シンポジウムの継続に対する期待.
各支部「若手の会」の横の繋がりの実現.
「拡大21世紀委員会」、「2000年会議」での討論.
4) 核となる組織の必要性
理事会に認められた組織であることの意味.
胡散霧消しかねないボランティア活動.
5) その他
B.提案
@ 後継の組織
○ 検討の経緯
2001年以降の全国レベルの分析若手組織に関して、拡大21世紀委員会(1999/9)提案の「日本分析化学会七支部若手の会
連絡会(仮称)」と、2000年会議(2000/5)での理事会への予算措置依頼を組み込んだ対案「日本分析化学会 新世紀委員(仮称)」、同じく2000年会議で提案の研究懇談会形式の組織について検討してきた.
一方、現在理事会では研究懇談会の見直しを検討している.並列して産業界との連携を強化するために「産業部会」の設置を検討中である.
「若手の活動」が、「研究懇願会」として組織に位置づけるのには馴染まないこと、若手研究者間の連携の強化という観点において産業部会の設置と類似性を持つことを考慮にいれて練った「2001年以降の全国レベルの分析若手の組織(案)」を以下に示す.事務局長に打診したところ、10月末の理事会に提案することで来年度から発足可能であるとのことなので、本合宿および倉敷会議での議論を経て具体案を作成することになると思う.
○ 仮称
「日本分析化学会・若手部会」
○ 設置の目的
支部間を超えた若手分析化学者の連絡交流に基づく連携の強化と研究開発の活性化.
○ 具体的活動予定
1.日本分析化学会の年会・討論会付設の若手シンポジウムを担当支部外から支援する.
2.分析若手の共同研究(cf.科研費・基盤研究C・調査研究申請)を組織する.
3.メーリングリスト、ホームページの維持管理、充実を図る.
4.その他、目的に沿った新規活動を企画する.
○ 構成員と運営方法
1.
メンバー
分析化学会会員で原則40歳以下の者の内、有志をメンバーとする(200名程度の見込み).
メンバーはメーリングリストに登録する.なお、連絡は原則全て電子メールにて行う.
2.
幹事
各支部1名以上の幹事を設ける.なお、討論会・年会担当支部からは2名以上とする.
幹事の決め方は各支部若手の会に一任する.
幹事は年2回(例えば、年会や討論会の初日昼)会合を持つ.
3.
主幹事
幹事の中から主幹事を選び(任期原則2年)取りまとめ役とする.
主幹事はメーリングリストの原簿・予算の管理者を兼ねる.
○ 予算
・ 理事会に検討を依頼する.
cf. 年2会の会議(\150,000-×2回)+年2回の付設若手シンポ(\100,000-×2回)
・ 新規に予算を得ようとするのであれば、かなり詳細な具体案を求められるだろう.
・ 21世紀基金の残金を引き継ぐことが可能という感触を持つ.
○ その他
・ 内容に関して思い至らぬところが多いと思われますので、検討をお願いします.
・ 詳細な内容を決めれば自由度が減り後進の負担・妨害ともなりかねない.
参考として「分析21世紀基金内規」なるものがあった(「ぶんせき」1993年4号300頁).
・ 意見を集約後は、頼りにならないのを覚悟の上で原田に一任か、さもなくば・・・.
A 連絡網
○ 現状: ボランティア
1.メーリングリスト(ML)
分析若手ML(管先生・北海道教育大管理)+2000年会議推薦若手リスト(原田管理)
2.ホームページ
半公式・半非公式HP(石岡・九大総理工管理)
○ 展望: 状況に応じて随時対処
1.いくつかに分化したML (cf. 分析1950s, 分析S30s, 分析1960s, 他)
2.公式HP(日本分析化学会管理)に、リンクされた外部HP(若手部会有志の管理)
3.+α
現在、名簿整理を準備中.問題は名簿電子ファイルの内容と授受方法.
電子ファイルの授受の円滑化のためのFTPサーバー(若手部会有志の管理)?
B 当面の年会・討論会付設企画
○ 第62分析化学討論会(信州大、2001年6月1-2日.中部支部)
「若手部会(仮称)」企画?
○ 日本分析化学会第50年会(熊本大、2001年11月23-25日.九州支部)
8/30(水) 第1回実行委員会
C その他の企画
○ ICAS2001(早稲田大、2001年8月6-10日)
○ ASIANALYSIS VI(早稲田大&国立オリンピック記念青年総合センター、2001年8月7-10日)
Asianalysis(アジア分析科学会議)はその名前の通り分析科学に携わるアジア諸国の研究者のための国際会議です。2年おきに開催されており、昨年は第5回会議が中国の厦門(Xiamen)で行われました。来年2001年の第6回は東京で開かれる予定です。(組織委員長:都立大
保母敏行先生)ところで、来年はICAS(分析科学国際会議)の開催年でもあるため、ICASとAsianalysisをジョイント会議とすることになりました。Asianalysis独自の企画としては「若い方々中心の会議」という謳い文句をつけました。日本人はもとより、できるだけ多くのアジアの若人が一同に会し、互いに大いに話し合う機会をもち、国際親善を深めてもらおうとする狙いです。早く言ってしまえば、『アジア若手の会』をやろうという大胆な試みなのです。
当然、若い人向けですから、参加・宿泊費も格安でなければいけないということになります。まず宿泊に関しては、赤岩英夫先生のご協力により渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センター(室内プールやテニスコートもあります)に学生は一泊なんと朝食付3,000円で泊まれるよう手配をいたしました(引率者の先生は5,000円)。また、参加費ですが、事前登録の場合日本人の方は申し合せによりICASのfull
registration rateが適用され、「一般」は40,000円ですが、「学生」については出血大サービスの15,000円と格安になっています。またさらに、日本人以外のアジアの方々については、Asianalysisで発表される場合にはICASには参加のみ(聴くだけで発表はなし)ならば特別割引があるとのことです。(一般30,000円、学生5,000円程度を予定)また、外国の若手研究者が参加するということで、言葉の問題や様々な(特に宿においての)トラブルに対処するための引率者が必要となります。そこで、同じ宿に宿泊して『引率者』となっていただける若手の先生方の参加も広く募集しております。 以上のように、本企画は学生を中心とした若手研究者の国際交流を計ろうという目的で行われます。この会での交流を通してアジア各国に友人をたくさん作る絶好のチャンスです。また、この会をきっかけとして将来のアジア、ひいては世界の分析化学に情報発信するための新しい原動力になることが期待されます。この「アジア若手の会」をぜひとも成功させるために主旨をご理解いただき、ぜひ皆さんの研究室の方々に参加を強く勧めていただきたくお願いいたします。また、お知り合いのアジア諸国の方々にもぜひご宣伝ください。 なお、場所確保のため、なるべく早く人数を把握したく存じます。参加される意志をお持ちの方は、9月末日までに、参加人数(学生と引率者)を小生あるいはasianalysis@ch.kagu.sut.ac.jp(Asianalysis
IV 事務局 東京理科大 長谷川祐子先生)までお知らせいただければ幸いです。つい先日、1st Circularが発行されました。御希望があれば、郵送あるいは添付ファイルとして送信いたしますので、お知らせ下さい。 多数の方々のご参加をお待ちしております。
(2000/7/30付、荒井先生発、分析若手ML参加者の皆様宛、抜粋)
資料V 基金残金
(省略.別掲参照)
資料W 本合宿での検討課題案(思いつくまま)として寄せられた意見
(資料への掲載を明示して意見集約をしなかったので、不適切な処理かもしれませんが名前を省かせていただきました.また、主旨は尊重したつもりですが、部分的に勝手に加工してあります.悪しからず了承下さい.)
a) 企業の求める分析とは?
b) 中高生の理科離れ
c) 研究費は適切に配分されているのか?
「企業研究所」「大学」「国研」の3カ所の研究費の違いに愕然としております。これは驚くだけではすまされない問題であると思い、もし同様の危機感をお持ちの方がおられましたら意見をお聞きしたいと思います。
d) 分析化学者の間でのネットワークは、分析化学者にとってどれほど重要か?
ものを分析するという行為はすべての科学の基本ですが、その分析をより必要としているのは分析化学の分野ではなく、現場の人たちです。そことのネットワークがより重要だと思います。しかし、そうした関係を作るにはどうしたらいいのか。企業にいる研究者が最も近い位置にいるのかな?
e) 日本分析化学会内の「研究懇談会」扱いとして「各支部若手連絡協議会」(名前は適当)設立.
f) 討論会,年会で発表する学生に,若手組織が「優秀発表」「優秀ポスター」を選定し表彰する.
g) 若手が得意とする分野,例えば,パソコンへのデータ取り込みをはじめとする情報機器の活用,データベースの作製,などで,ワーキンググループをつくる.
h) 国内分析センター、分析委託業者にできない どんな分析が可能かをどのように分類して、どのように国内の研究者が利用しやすい環境を構築するか。
i) 各人:一般研究者にどのような分析ができるかを常に簡便に解説できる意識。 全体:ネットワークを一元管理する機関の重要性。
j) 分析化学の守備範囲をいかに拡げていくかを考えてみたいです。外に向けて討って出る姿勢が必要だと思うので・・・
k) 大学教育における分析化学の新しい位置づけについて。
l) 分野の性格上、つい研究が各論・詳論になりがちななか、日本の分析化学全体として主にどのような貢献をめざして、どのような新しい研究分野・体制を切り拓いていくか。
m) 企業に必要とされる大学の研究とは?
趣旨は以下の通りです。 ・・・・分析化学は大きな一つの学問分野として確立したものであり、現在の化学産業の発展にも必要不可欠なものであると考えますが、現在、(少なくとも僕は)”学問、あるいは大学の研究としての分析化学”が企業にアピールできるものは何?と聞かれても”これです”というものがすぐに思い浮かびません。企業とのつながりというと、あまりよいイメージではないかもしれません。”大学が企業の下請けになってしまうのはよくない”という意見には大賛成ですし、大学は企業ではできないことをやるのが基本だとも思います。ですが現在の分析化学会の状況は、この課題に関する問題意識のレベルの低さ(もちろん僕も含めてですが・・・・)が起因しているように思えてならないのです。この課題は”学問としての分析化学”の存在意義を考える上で極めて重要なファクターと考えます。良い形で企業と分析化学がつながっていくための方策や、今後必要とされる研究課題を議論することは、基礎研究を進める研究者にとっても、応用研究を進めている研究者にとっても決して無駄なことではないと考え、提案致しました。
n) 提案されている「21世紀の分析化学を考える。社会貢献、大学・研究機関・企業との連携、教育、研究を探る。若手分析化学者としてできること、すべきことは何か?」がメインで良いと思います。前回の2000年会議にあった新組織と運営、その中味についても話題になると思います。日本分析化学会についてどんな意見を持っているか、聞ければよいかも。
o) **支部では毎年若手交流会を行っておりますが、そのときにいちばん頭を悩ますのが企業の方にご参加いただけるプログラムがなかなか思いつかないということです。もし、他支部で具体化されている良案がございましたら教えていただければ幸いです。
p) 国立大学の独立行政法人化に対してどのように対処していくのか、分析化学として、採算のとれる研究体制をつくるにはどうしたらよいか.
q) 特にないのですが,「教育」という観点なら分析化学というよりも化学もしくは科学というように広く考えてもいいのかもしれません。
r) 分析化学技術発展のために産官学はいかに連携すべきか? それぞれの立場で、どの様なことができるか。どのようなことをするべきなのか。そして、理想的な姿とは?
s) 現,21世紀委員会の活動方法と本部との関係は?(予算会計,年会討論会での企画の立案と実行方法など本部との関わり方)若手の全国規模の集まりとは,支部を構成単位とした集合組織なのか,支部にとらわれない集まりなのか?各支部における若手の現状は?(人数,若手の会などの活動)若手の集まりを本部に正式に認めてもらうのか?(メリットディメリットがある)
t) 血中ダイオキシンの分析、30〜35万円/人?(朝日新聞8/21日朝刊)
u) 21世紀はアジアの時代.留学生に関わる諸問題を踏まえつつもAsianalysis
IVを良い機会ととらえて、数10年後のアジアの分析化学若手の会を考えてみるのも良かろう.
v) そもそもこの合宿企画が分析機器展の前日に設定されてしまうことに問題があることを、忘れないように.
w) 混沌とした分析化学の現状を踏まえ、私たち若手研究者は何処へ向かっていけば良いのか
x) 化学会全体において「分析化学」の地位を向上させるための戦略、戦術
y) 若手会員の組織化(必要性・形態など)
z) とりあえず、来年のAsianalysisへの協力
aa)論文誌審査、編集への若手の参加
資料X 大学教育に関する議論の一例
(別紙にて配布。省略。)