分析化学会会長メッセージ
 分析化学の新時代に向けて

 2008年度の会長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 分析化学の振興を目指す日本分析化学会は、本年で57年目を迎えております。分析化学は、大学等の教育・研究分野においても、また産業分野においても、益々その活躍の場を拡大しております。社会の様々な分野で分析法が利用され、日々新しい分析技術が開発されております。分析化学は、現代科学の推進役である計測科学と解析科学の中で、分野を越えた先端総合化学として発展しております。日本分析化学会は、バイオ、材料、環境に関連する様々な分野の研究者・技術者のご参加を大いに歓迎いたします。
 世はまさにインターネット普及時代にあり、社会・文化との折り合いを模索しつつ、情報の取得・発信における世界同時刻化が進行しております。web上で公開している本会英文誌Analytical Sciencesは、2007年度は全文pdfのアクセス数が62万件に達し、アジアを代表する分析化学国際誌の地位を確立しております。本会本部・全国7支部の活動状況、毎年の討論会・年会・東京コンファレンス等の開催情報、およびASIANALYSISやICAS等の国際会議情報も本会ホームページにてお知らせしております。
 本会は、学生会員や多様な職種の企業会員を含む約8,000名の会員により構成されております。したがって、本会への会員の皆様の期待も極めて多様なものと思われます。本会は、大学等の分析化学の教育と研究を、長期的学術振興の視野に立って応援いたします。学術的交流はもとより、未来の分析化学を議論し、また有用な就職情報の交換の場ともなる若手交流会を支援します。企業の皆様には基礎分析化学を重視した講習会・講演会を企画しております。また、分析化学の基礎知識や最新情報を機関紙「ぶんせき」にて提供しております。最新の研究成果の公開には、邦文誌「分析化学」および英文誌「Analytical Sciences」をご活用願います。本年は5月15・16日に名古屋国際会議場で第69回分析化学討論会が、9月3−5日に幕張メッセで東京コンファレンス2008が、9月10−12日に福岡大学で日本分析化学会第57年会が開催されます。皆様のご参加をお願い申し上げます。また、日本の化学系学協会は、2010年に日本で開催される「第42回国際化学オリンピック日本大会」(委員長 野依良治先生)の成功に向け、現在、募金活動を行っております。さらに、本会が10年毎に日本で開催するInternational Congress on Analytical Sciences (ICAS)が、寺部 茂先生を組織委員長として2011年に京都で開催されます。新たな時代に向けて、会員の皆様のご協力を切にお願い申し上げます。

2008年度分析化学会会長
渡會 仁
大阪大学大学院理学研究科 教授